新たな成長を目指して

圧倒的な付加価値を創出する「提案型ソリューションパートナー」として、変化・革新に邁進し、「感動」と「喜び」を提案
「紙」から始まったTOMOEGAWAは、時代の要請に基づき新製品・新技術の開発に取り組んできました。その過程で、「電気物性評価技術」と「抄紙、塗工、粘着・接着、粉体」の生産技術の組合せに活路を見出し、創業111周年を経た現在ではトナー事業や半導体関連事業を主力事業とする「高機能性材料メーカー」に脱皮しています。
昨今は、電気物性に加えて熱と電磁波の評価技術に磨きをかけ、高機能性「材料」に止まらない、モジュール化、部品化、装置化まで手掛ける、お客様が「その手があったか!」と膝を打つような圧倒的な付加価値を創出する「提案型ソリューションパートナー」を目指し、経営理念とコーポレートスローガンのもと、開拓者精神を持って変化・革新に邁進し、社会とお客様に「感動」と「喜び」を提案しています。特に、現在手掛けている新製品の多くは、DXやAI、EV等の普及を支えるだけでなく、省エネ・省資源など、環境課題の解決にも貢献する技術が多く含まれていることは、特筆に値します。
中期経営計画の最終年度(2025年度)と今後に向けて
2024年度は、2025年度(2026年3月期)を最終年度とする、第8次中期経営計画4年目となり、(1)安定的な収益基盤の確保、(2)構造改革の完遂、(3)成長戦略、(4)投資戦略、(5)SX戦略、(6)DX戦略を主要課題とし、取り組みを進めてきました。
業績につきましては、半導体・ディスプレイ関連事業とセキュリティメディア事業が好調であったことや海外関連売上高の円安効果があったものの、中国経済不振によるトナー事業と機能性不織布事業の低迷により、売上高や営業利益は、計画を下回る結果となりました。
2025年度も、米国の関税措置など不透明な事業環境が想定されますが、新製品の本格立ち上げ・量産に邁進しつつ、構造改革・体質改善を通じた収益体質の向上に取り組み、開発投資を増やしつつも2桁億円の営業利益を確保し、2026年度を初年度とする第9次中期経営計画の飛躍につなげていきます。
サステナビリティへの取り組み
当社は以下の基本方針のもと、開発型企業である強みを活かした貢献を進めています。
【サステナビリティ基本方針】
私たちは、「誠実」「社会貢献」「開拓者精神」からなる創業精神のもと、これまでもこれからも「新製品・新技術の立ち上げによるお客様満足を通じた利益の最大化」を通じて持続可能な「より良い世界(社会・環境・ガバナンス)」の実現に向けて貢献してまいります。
- 社会的課題への取り組み
- 環境問題への取り組み
- 人権の尊重と人財価値最大化への取り組み
この方針に基づき、当社は、サステナビリティ経営を推進するため、代表取締役社長CEOを委員長とするサステナビリティ委員会において、ESG関連の環境問題および社会問題に関わる課題を整理分類し、当社として優先的に取り組むべき課題として7つのマテリアリティを特定しています。
【7つのマテリアリティ】
- 技術革新による新たな価値創造と生産性向上
- 環境負荷低減の実現
- 安心安全な製品の供給
- パートナーシップの強化
- 構造改革による経営効率アップ
- 人的資本の強化/ダイバーシティ&インクルージョン
- コーポレート・ガバナンス/コンプライアンスの強化
2024年度は、GHG排出量算定規程に基づき算定したGHG排出量(Scope1,2)について第三者検証を実施しました。また温室効果ガス削減分科会内に、「GX設備会議」と「CFP会議」を設置し、温室効果ガス削減の取り組みを進めました。
新製品・新技術による価値創造
当社グループでは5Gの普及やDXの加速に伴う、高電圧・大電流・高周波数に対応するため、「熱・電気・電磁波」をコントロールするさまざまなソリューションを「iCas」ブランドとして提供しています。
「iCas」ブランドの中でも、熱・電気のコントロール性能を向上させた製品は、SDGsが求めるエネルギー使用量削減への貢献も可能となります。
例えば、現在量産体制構築を進めているフレキシブル面状ヒーターは、今後拡大が見込まれる半導体市場向けに、製造工程における電力使用量削減のため、製造装置や工場内の配管部分における加熱効率を大きく向上させることができる、省エネルギーに寄与する環境配慮製品です。
また、省資源や環境に配慮したブランド「グリーンチップ」製品を開発、展開しています。グリーンチップ® CMF®は木材由来のセルロース繊維を55%配合した複合樹脂です。セルロース繊維を高配合できるため、石油由来樹脂の使用量を抑えられ、CO2排出量削減につながる環境配慮製品です。テーブルウェアを中心に採用が拡大しているほか、日用品、工業製品、家電分野、自動車分野など様々な分野での採用検討が進んでいます。
- iCas、グリーンチップは株式会社巴川コーポレーションの登録商標です。
- グリーンチップ®CMF®は、エフピー化成工業株式会社様と共同開発した製品です。
環境課題への対応
世界規模で議論されているカーボンニュートラル実現への対応については大きな課題です。当社は「環境配慮製品」などを通じた環境への貢献に加えて、従前より自社で使用するエネルギーの効率化や省エネに取り組んできており、2024年度では政府目標の2013年度比46%削減を達成しています。また、エネルギー消費量の多い製紙事業からの転換もCO2排出量の削減に大きく寄与しました。さらに、戦後直後から山林経営に取り組み、約3,000haにおよぶ社有林を保有しています。これらは、CO2吸収、治山治水、生物多様性保全など、SDGsに貢献する取り組みでもあり、引き続き山林の保全を継続することで、今後も、CO2排出量削減に取り組み、環境負荷の低減を図り、地球環境保全に取り組んでいきます。
人的資本充実への取り組み
当社は、持続可能な社会への貢献として人的資本の充実も進めています。経営戦略の基本は人財戦略と考えており、「人財」への投資により「人財の価値を最大限に引き出す」ことが企業競争力の向上を導き、中長期的な企業価値向上につながっていくものと考えています。人財育成の促進、多様な人財の活躍、いきいきと働きやすい職場環境づくりのために取り組みを進めています。
引き続き、「グローバル視点の提案型リューションパートナー」として、「前例にとらわれず、組織の壁を超え、チームと個の力を掛け合わせ、新たな感動を創造する」を実現するために取り組んでいきます。
結び
TOMOEGAWAは、全てのステークホルダーの皆様との対話を重視し、説明責任を果たしながら、強固な信頼関係をさらに高めていく所存です。
本レポートへの忌憚のないご意見はもとより、TOMOEGAWAおよびグループ企業への、ご指導、ご鞭撻、ご支援を何卒よろしくお願いいたします。
代表取締役社長