企業情報

沿革・歩み

1914年(大正3年)、「電気通信用紙(さん孔紙)」と「電気絶縁紙」の国産化というニーズに応えるため、産業用特殊紙のパイオニアとしての道を歩み出して100年。創業以来培ってきた「電気絶縁材料技術」を活かした特殊紙製品から、時代の最先端分野の高機能性材料に至るまで、「抄紙、粘・接着、粉体、塗工」技術に磨きを掛けてまいりました。時代のニーズに応じた製品づくりを行ってきた当社の歩みの一部を紹介します。

1910 ~ 特殊紙時代

電気絶縁材料の国内パイオニア

電気絶縁紙の初国産化で電気絶縁材料をリード

時代背景
電気絶縁紙の輸入激減

近代国家として日本の工業化が動き始めた20世紀初頭。産業に不可欠な電力を供給するべく、国内に送電インフラが整備されつつありました。これに伴い「電気絶縁紙」にも旺盛な需要が喚起された一方、そのすべては欧米からの輸入に頼らざるを得ない状況にあり、1914年に勃発した第一次世界大戦の影響で調達が困難になる事態が深刻化しました。

創製された製品・技術
【電気絶縁紙】の国産化に
初めて成功

1910年ごろの電気絶縁紙

1900年初頭、井上源三郎は電気絶縁紙の国産化の志を抱き、わずか一片のドイツ製見本を手掛かりに研究開発に着手。第一次世界大戦の勃発で国産化の要望が高まる中、1914年に巴川製紙所を創業、電気絶縁紙の国産化と量産化を達成します。その後、1960年代の送電網の拡張や70年代の高圧送電化といった、日本の急速な送電網の構築に大きく貢献していくことになります。

図上:当社の電気絶縁紙を用いた電線ケーブル(1930年頃)

1910s

1914年(大正3年)

初代社長井上源三郎が、現在の静岡県静岡市清水区に巴川製紙所を創設し、電気絶縁紙、電気通信用紙の研究試作を開始

1917年(大正6年)
1917年(大正6年)ごろの株式会社巴川製紙所

電気通信用紙(さん孔紙)と電気絶縁紙の国産化を目指し、資本金200千円で株式会社巴川製紙所が設立される。初代社長に井上源三郎が就任

1918年(大正7年)

昌栄印刷株式会社 設立(当時 株式会社昌栄堂印刷)

創製された製品・技術

さん孔紙

抄紙

通信ケーブル用絶縁紙

抄紙

電力ケーブル用絶縁紙

抄紙

1930s

1933年(昭和8年)

株式会社日本理化製紙所創業(現 株式会社NichiRica)

1933年(昭和8年)
1933年(昭和8年)ごろの用宗工場(現 静岡事業所)

静岡市に用宗工場(現 静岡事業所)を新設。特殊紙分野の開拓を進めるとともに、一般紙の製造に着手

創製された製品・技術

高圧コンデンサ用紙

抄紙

1940s

1945年(昭和20年)
1945年(昭和20年)ごろの新宮工場

新宮木材パルプ(株)を吸収合併し新宮工場と改称、クラフトパルプの自社生産を開始

1948年(昭和23年)

三和紙工株式会社 設立

1949年(昭和24年)
1949年(昭和24年)ごろの製紙技術研究所(現 技術研究所)

用宗工場内に製紙技術研究所(現 技術研究所)を設置、紙パルプの総合的な研究を開始

創製された製品・技術

トレーシングペーパー

抄紙

放電記録紙

塗工

1950s

1958年(昭和33年)

新宮工場内に抄紙工場を設置、パルプから紙への一貫体制を確立

創製された製品・技術

超高圧電力ケーブル用絶縁紙(154kV)

抄紙

電子謄写原紙

塗工

1960 ~ 情報記録媒体時代

オートメーション(OA化)時代の先陣

OA化の進捗が進む中、トナーや磁気切符を事業拡大

時代背景
OA化の進捗

高度成長が続き、産業の発展や豊かな生活に向けて、さまざまな機器が普及していきます。1960年代には電子写真方式の複写機が登場し、手軽に複写・印刷できる機器として急速に普及していきました。一方、交通機関においても自動化が進み、1970年代には磁気切符や磁気定期券を利用した自動改札システムも導入されましたが、いずれも電気特性の高度な技術が求められていました。

創製された製品・技術
電気物性を活かした
【トナー】【磁気切符】を量産

電気をコントロールする卓越した技術力を活かした電子写真紙の開発を経て、1960年代にトナーの開発に着手。1965年、最初の製品となる製版用トナーを市場に投入、その後複写機用トナーの開発に注力。1973年に市場参入し、今日のトナー専業メーカーとして世界№1の地位に至るグローバルな供給体制を築きました。一方、磁気記録媒体のリーディングカンパニーとして、切符、定期券、プリペイドカードなどを次々と上市し、豊かな暮らしに貢献してきました。

ファクシミリ用静電記録紙とトナー

1960s

1961年(昭和36年)

東京証券取引所一部市場に上場

1963年(昭和38年)

創業50周年を記念した本社ビルが東京の京橋に完成。

1964年(昭和39年)

創業50周年記念式典 開催。駿府会館において用宗・清水合同記念式典を執り行う。

創製された製品・技術

電子写真紙

塗工

電算機用さん孔紙

抄紙

高速処理用統計カード用紙

抄紙

乾式EFオフセットマスター

塗工

EFコピー用乾式2成分トナー

粉体

プリンター用静電記録紙

塗工

オンライン通帳用紙

抄紙

謄写・OHP原紙(トミーコバックスW)

塗工

FAX用静電記録紙

塗工

磁気駐車場券・湿式EF切符

塗工

1970s

1972年(昭和47年)

製紙技術研究所を「技術研究所」に改称、紙以外の新規事業開発を加速。

1972年(昭和47年)

トナー第1工場 竣工。1978年にも新工場を建設し、さらなる増産体制を整備した。

1978(昭和53年)

アメリカ・イリノイ州にTOMOEGAWA(U.S.A.)INC.を設立、1981年10月よりトナーの製造を開始。

創製された製品・技術

EFコピー用湿式トナー

粉体

キレート磁気切符

塗工

スクリーン印刷枠貼粘着テープ

粘・接着

湿式EFカラーコピー紙

塗工

PPCマスター乾式トナー

粉体

感熱磁気切符

塗工

通電感熱記録紙

塗工

偏光板粘着加工

粘・接着

1980 ~ エレクトロニクス時代

世界に躍進するTOMOEGAWAのテクノロジー

エレクトロニクス機器・半導体の国際標準となる関連製品を展開

時代背景
エレクトロニクス機器、
半導体市場が急伸

さまざまな電気・電子製品が市場に普及するのと歩調を合わせて、半導体の高密度・高集積化が急速に進展していきました。微細な回路と回路の電気絶縁性や耐久性・寸法安定性など、高度な電気工学が求められる中、常に時代の先端をゆく優れた電気絶縁性、高分子化学の電子材料が求められました。

創製された製品・技術
国際規格のベースとなる
【リードフレーム固定用テープ】

当社は、1977年に偏光フィルムのクリーン粘着加工事業に参入後、新たに立ち上げたクリーンコーティング・ラミネート技術の電子材料分野への応用展開を図りました。
電気絶縁紙で長年培った電気絶縁材料技術を生かし、半導体パッケージ内部で使用される電子部材「リードフレーム固定用テープ」を1984年、独自に開発。その優れた技術力に裏づけされた信頼性の高い製品は、世界のICメーカーから指定商品として位置付けられ、国際規格のベースになっています。

エレクトロニクス業界を支える高機能な電子部品材料

1980s

1984年(昭和59年)

オランダ・アムステルダムにTomoegawa Europe B.V.を設立、トナー並びに加工紙製品の販売を開始

1984年(昭和59年)

トナーの充填工場として化成品第2工場が竣工

1987年(昭和62年)

新巴川加工株式会社、巴川物流サービス株式会社 設立

1989年(平成元年)

清水事業所に電子部品材料、磁気記録製品などの高機能製品の専用工場を設置

創製された製品・技術

超高圧電力ケーブル用半合成絶縁紙(275kV)

抄紙

増ページオンライン通帳用紙

抄紙

超軽量印刷用紙(トモエリバー)

抄紙

バス共通磁気回数券

塗工

1990s

1992年(平成4年)

用宗工場内に液晶ディスプレイ用粘着加工の専用工場を設置

1995年(平成7年)

新宮工場を閉鎖、パルプ事業から撤退

創製された製品・技術

超々高圧電力ケーブル用半合成絶縁紙(800kV)

抄紙

ステンレス繊維シート・フッ素繊維シート

抄紙

粉体塗料

粉体

インクジェット用特殊紙

抄紙

LCD用低反射(LR)フィルム、LCD用AGフィルム

塗工

CRT用着色粘着フィルム

粘・接着

イオン交換繊維シート

抄紙

2000 ~ FPD時代

粘着・接着技術の開花

粘着・接着技術でディスプレイを高機能化

時代背景
薄型テレビ・
ディスプレイが本格普及

パソコンの普及やテレビの大型化・薄型化というニーズが広まりつつある2000年代。より色鮮やかで、かつ人にもやさしく、そしてコストパフォーマンスや工程省力化、耐久性の向上など、さまざまなニーズが求められる中、タイムリーな商品開発や上市、それに加えてコスト競争力が求められていました。

創製された製品・技術
鮮やかで高品質な
ディスプレイを実現する
【ディスプレイ部材】

当社は、紙から「高機能性材料」へと事業内容をシフトし、塗工技術と粘着・接着加工技術に磨きをかけ、液晶およびプラズマディスプレイ向けなど時代のニーズに応える数々の「ディスプレイ部材」を生み出してきました。反射防止、眩しさ防止、UVカット用やタッチパネル用など、幅広いニーズに対応することに加え、潜在的ニーズを汲み取って自ら提案するマーケティング力の強化に取り組み、今日も時代と共に歩み続けています。

フラットパネルディスプレイ用光学フィルム

2000s

2001年(平成13年)

メキシコ・チワワ州にプリンター用紙の加工工場を開設

2001年(平成13年)

静岡事業所内に分析センターを開設

2002年(平成14年)

静岡事業所内にディスプレイ用光学フィルムおよび電子部品用接着テープ生産工場を設置

2004年(平成16年)

香港にTOMOEGAWA HONG KONG CO.,LTD.を設立

2005年(平成17年)

中国事業を統括する持株会社(株)巴川ホールディングス恵州を設立

2005年(平成17年)

大阪証券取引所の上場廃止

2005年(平成17年)

中国・広東省恵州市にトナーの製造・販売を行う巴川影像科技(恵州)有限公司を設立、2006年4月恵州工場が竣工

2005年(平成17年)

増大するトナー需要に対処すべく、静岡事業所内に化成品第3工場が竣工

2005年(平成17年)

福井県敦賀市に光学フィルムの開発・製造を行う(株)巴川ファインコーディング(現(株)TFC)を設立

2006年(平成18年)

製紙事業部門を分社し、新巴川製紙(株)を設立

2006年(平成18年)

通称社名を「TOMOEGAWA」とし、新ロゴを制定

2006年(平成18年)

韓国に巴川コリア株式会社を設立

2009年(平成21年)

キャパシタ・電池用電極事業合弁会社としてATエレクトロード株式会社を設立

創製された製品・技術

PDP用着色粘着フィルム

粘・接着

LCD用静電チャック

粘・接着

紙紐・紙ネット(アミックス)

抄紙

位相差フィルム付きガラスグリッド

粘・接着

セラミックESC用接着シート

粘・接着

各種機能性OCAフィルム

粘・接着

ペーパーロープ(サンロープ)

抄紙

EMC対策シート

塗工

電池電極

塗工

ハイブリッド接着シート

粘・接着

2010s

2010年(平成22年)

ディスプレイ用反射防止フィルム製造を行う(株)トッパンTOMOEGAWAオプティカルプロダクツ(現 (株)トッパンTOMOEGAWAオプティカルフィルム)を設立

2011年(平成23年)

メキシコ・チワワ州のプリンター用紙加工事業を譲渡

2011年(平成23年)

中国・河西省九江市にトナーの製造・販売を行う日彩影像科技(九江)有限公司を設立

2012年(平成24年)

インドの電気絶縁紙メーカーであるAura Paper Industries(India) Pvt. Ltd.に出資

2013年(平成25年)

新巴川製紙(株)を吸収合併

2013年(平成25年)

台湾・高雄市に駐在員事務所を開設

2014年(平成26年)

6月19日、創業100周年を迎える

2015年(平成27年)
iCas

熱・電気・電磁波コントロール関連製品の統一ブランド「iCas」を創設

2016年(平成28年)

台湾の駐在員事務所に代わり、子会社として台湾巴川股份有限公司を設立

2016年(平成28年)

インドの持分法適用関連会社 Aura Paper Industries(India)Pvt.Ltd.の株式を追加取得、子会社化。TOMOEGAWA Aura India Pvt. Ltd.に名称変更

2016年(平成28年)

アラブ首長国連邦のドバイにTomoegawa Co. Middle Eastを開設

2018年(平成30年)

複写機・プリンター用トナー等の中国での販売のため、巴川(広州)国際貿易有限公司を設立

2018年(平成30年)

本社を東京都中央区の京橋トラストタワーに移転

創製された製品・技術

タッチパネル対応製品

粘・接着

活性炭シート

抄紙

耐熱・耐薬品マスキングシート

塗工

炭酸カルシウム紙

抄紙

DIAシート

塗工

ボンディングシート

塗工

2020 ~ 新しい時代へ

グローバル戦略と提案型開発案件の強化

電子部品の高機能・高性能化で障壁となっている誤作動防止に

時代背景
IoTとグローバル化の進展

身の回りの家電等がインターネットに接続する「モノのインターネット(IoT:Internet of Things)」が注目されている他、人工知能によるビッグデータの活用、再生可能エネルギーに代表される新エネルギー、「ポスト・スマホ」として注目を浴びるウエアラブル端末、自動車業界での車載エレクトロニクスの進化や自動運転システムへの取り組みなど、次の時代のニーズに合わせた様々な製品・技術が進化しています。一方、国際競争が激しくなる中、日本国内のメーカーは、国内に留まることなく、グローバルな事業展開が求められており、海外拠点の開設や市場拡大が加速しています。

創製された製品・技術
「熱・電気・電磁波
コントロール材料」で
次の50年の礎を築く

IoTという時代の流れを受けて、電子機器はますます小型・軽量化、高電圧・大電流・高周波数対応が求められる中、熱・電気・電磁波による電子部品の故障・誤作動が技術の障壁になっています。そこで、TOMOEGAWAが創業以来培ってきた電気物性評価技術や抄く(抄紙)・塗る(塗工)の技術力によって課題の解決に貢献するべく、「iCas(アイキャス)」ブランドを立ち上げ、事業拡大に努めています。また、お客様のニーズを先取りした自発的提案に取り組み、電気・電子材料関連、機能紙関連を中心に、提案型開発案件の立ち上げにも取り組んでいます。創業精神である「誠実・社会貢献・開拓者精神」を今後も堅持し、「グローバルに展開し成長する全員参加の開発型企業」であり続けます。

2020s

2020年(令和2年)

昌栄印刷(株)の連結子会社化

2020年(令和2年)

Tomoegawa (U.S.A.) Inc.における生産活動を終了

2020年(令和2年)

Tomoegawa Co Middle East を閉鎖

2021年(令和3年)

大阪営業所廃止

2022年(令和4年)

東京証券取引所スタンダード市場に移行

2022年(令和4年)

日本理化製紙(株)(現(株)NichiRica)完全子会社化

2022年(令和4年)

三和紙工(株)完全子会社化

2023年(令和5年)

東京証券取引所スタンダード市場における所属業種が「パルプ・紙」から「化学」に変更

2023年(令和5年)

東北営業所の設置

2024年(令和6年)

創業110周年を迎え「(株)巴川製紙所」から「(株)巴川コーポレーション」へ社名変更

TOMOEGAWAのiCasで電子部品の誤作動防止に

クラウドや人工知能の普及によるITの進化に加え、ウェアラブルデバイスやIoT(Internet of Things)の普及が加速する今日。ますますITが進化する時代のニーズに合わせて、電子部品の小型化・軽量化、ハイパワー(高電圧・大電流・高周波)が求められています。

その際は、「技術の障壁」ともいうべき、ノイズ対策や放熱、絶縁対策など、電子部品の誤作動対策が欠かせません。

TOMOEGAWAが100年以上にわたって培ってきた独自の技術力や「iCas」関連製品を駆使して、「熱・電気・電磁波」による電子部品の故障・誤作動の防止に貢献いたします。

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